静岡と山梨、長野の三県にまたがり、3千メートル超級の山々が聳える南アルプス。2014年にユネスコエコパークに登録されたことは、まだ記憶に新しい。その翌年に設立されたNPO法人「静岡山の文化交流センター」は、静岡市、浜松市などを拠点に、南アルプスの山や森に親しみ、学び、その恵みに感謝し、守るためのさまざまな活動を展開している。

理事長の山本良三さん。NPO法人「静岡山の文化交流センター」│静岡市葵区 取材・写真/永谷正樹

理事長の山本良三さん。NPO法人「静岡山の文化交流センター」│静岡市葵区
取材・写真/永谷正樹

 静岡山の文化交流センターは、静岡大学山岳部など地元山岳団体の有志が立ち上げたNPO法人で、会員は80人。南アルプス及び周辺山地における登山、エコツーリズム、自然環境保全、地域の活性化に興味や関心を持つ人々、団体を対象に、知識や情報を提供し、実技指導を行うとともに、人的交流による登山文化、森林文化、里山文化の質的向上を図る活動を行っている。

 具体的には、南アルプスの自然の普及啓蒙、植林、地域ネイチャーガイドの養成、地域活性化の支援、新しい登山ルートの整備などを行っており、昨年(2019)3月には、静岡市葵区の標高700メートルの山で、「“森づくり”広葉樹植林体験」が実施された。約40人の参加者が、増えすぎた人工林を元の森に戻すため、コナラ、カエデ、ケヤキなどの広葉樹1,300本を植樹した。

 静岡大学山岳部の出身で、南アルプスに造詣が深い、同センターの代表理事、山本良三さんは、植樹のねらいを次のように語る。

「人工林の森は豪雨災害に弱いので、広葉樹の苗木を植えることによって、自然な森に戻してあげることが必要なんです。こうした努力が、将来的に豪雨による土砂災害を防ぐことになるんですね」

上:山本さんの自宅近くにある山の頂からの眺望。この山には山本さんも頻繁に訪れる/下:寸又峡入り口の駐車場内にある南アルプス山岳図書館。南アルプスの関連書籍が7500冊も揃っている

上:山本さんの自宅近くにある山の頂からの眺望。この山には山本さんも頻繁に訪れる/下:寸又峡入り口の駐車場内にある南アルプス山岳図書館。南アルプスの関連書籍が7500冊も揃っている

 また、同じく昨年(2019)3月には、明治大学(東京都千代田区)に250人の参加者を集めて、「南アルプス自然の魅力講演会」を開催。南アルプスの自然史、生物多様性などについての講演を行った。

 そうした活動の中で、特に力を入れようとしているのが、大井川の上流、南アルプス山麓にある井川地区の活性化だ。井川地区は、人口が400人を割る過疎地だが、その背後に5万ヘクタールに及ぶ豊かな山林を抱えているため、森林資源や水資源を活用した再生可能エネルギー創生による地域起こしを考えている。

 山本さんは抱負をこう語る。

「私たちが、これまで南アルプスの自然から受けてきた恩恵には、計り知れないものがあります。その恩返しのつもりで活動を続け、南アルプスの魅力を発信し続けていきたいと思っています」

問い合わせ先
電話 0‌5‌4‐3‌6‌4‐2‌6‌5‌0(FAX兼用)
yamamoto@smcxc.org