夏が来ると思い出すのが、三つ峠(*1)山頂で遭遇した早朝の光景だ。河口湖を覆って眼下に広がる雲海の向こうに霊峰富士が雄姿を見せ、雲海のあちこちから雲の柱がゆっくりと立ち上る。その時の感動には、「すべて善し」という大肯定の実感が伴っていた。

 それは、日常生活の気ぜわしい時間感覚が脱落し、広大な自然の中で得られた感動だが、そうした感動は、意識さえしていれば日常の些細なことからももたらされ、人生を豊かに彩ってくれる。

イラストは筆者

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 慶応義塾大学の前野隆司教授は、あらゆる感動は、❶SENSE(感覚)、❷THINK(思考)、❸ACT(行動)、❹RELATE(関係性)それぞれに伴う感情の高ぶりに分類できるとした上で、「感動する力」を高める方法を示している。紹介すると、❶自然の中に身を置く→五感を研ぎ澄ます、❷「なぜ?」を大切にする→基本的思考力を高める、❸小さい一歩を踏み出してみる→行動することに慣れる、❹人のよいところを見つける→人間を磨き関係性を深めるというものだ。

 具体的には、散歩しながら景色を味わう、咲く花に心を寄せる、風を感じる、季節の移り変わりを味わうこと等を奨励している。とくに興味深いのは、眠る前のひととき、その日にあった小さなことにも喜びを見出し、感謝する時間を設けるよう勧めていること。たとえば、出会った人について、その人のよいところを探してみるのもよいという。

 これは、まさに生長の家が推奨している『日時計日記』(生長の家白鳩会総裁・谷口純子監修、生長の家刊)の勧めである。日々、喜びと人のよいところを記して、感動する心を養おう。

参考文献
生長の家総裁・谷口雅宣著『日時計主義とは何か?』(生長の家)
●前野隆司著『感動のメカニズム 心を動かすWORK&LIFEのつくり方』(講談社現代新書)他

*1=山梨県都留市、西桂町、富士河口湖町の境界にある標高1785mの山