長野県の北部、リンゴ園と水田、雑木林に囲まれた里山にある幼稚園「大地」。民家からも離れた自然豊かな環境で、火おこしや草木染めなど、生活体験を中心にした教育を行っている。自然の中で喜びを感じられる、豊かな感性を持った子供を育て、自然と調和した平和な社会の実現を目指している。

「NPO法人大地」│長野県三水村(さみずむら) 取材/原口真吾 写真/堀 隆弘 子供たちのことを一番に考えていると語る園長の青山繁さん

「NPO法人大地」│長野県三水村(さみずむら)
取材/原口真吾 写真/堀 隆弘
子供たちのことを一番に考えていると語る園長の青山繁さん

 東京で保育士をしていた青山繁さん夫婦は、自然が溢(あふ)れる教育の場を求めて、平成3年、生まれ育った三水(さみず)村に戻って来た。一から開墾(かいこん)して開拓を始め、翌年、「自分が幼児に戻れたら入園したい幼稚園を造りたい」という願いの下、幼稚園「大地」を開園。これまでに200人を超える子供たちが巣立っていったが、その約半数は、子供のために自然豊かな環境を求め、都会から引っ越してきた家庭の子供たちだという。

 大地の教育の基本は、自然豊かな里山での生活体験。テレビやゲーム、スマホなどを避け、五感による実体験を大切にし、子どもたちは、自然界の持つ美しさに触れ、親しみ、遊ぶ。木材や布を使ったクラフトの時間もあり、子供たちの想像力を育(はぐく)むだけでなく、金槌(かなづち)やノコギリの使い方、草木染めの方法などの技術も身に付けられる。

 また、食事は地元のオーガニック食材を使った素朴な料理で、子供たちが、それぞれ得意分野を担当して料理を手がける。

上:できたばかりのつきたての餅/中:率先して餅つきの準備を進める子供たち。上には干し柿が/下:手作りの温かさが感じられる「大地」の玄関

上:できたばかりのつきたての餅/中:率先して餅つきの準備を進める子供たち。上には干し柿が/下:手作りの温かさが感じられる「大地」の玄関

 取材した昨年(2016)12月14日には、翌年の無病息災(むびょうそくさい)を願った餅(もち)つきが行われた。卒園生の小学生たちが率先して火をおこして、餅米(もちごめ)を蒸(む)し、慣れた手つきで準備を進めていく。餅に絡(から)めるクルミは山で拾い集めたもので、子供たちはすりつぶしたクルミを味見しながら、出来たての餅につけておいしそうに頬張(ほおば)った。

 その後は、里山の中での遊び。子供たちは、落ち葉を放り投げたり、木に登ったりと、歓声を上げながら遊びに興じた。

 そんな子供たちの様子を眺めながら青山さんは、「卒園生が『幼稚園時代が一番楽しかった』と言ってくれるのがとても嬉しいと語る。

「大人になっても自然に触れた幼稚園の頃を思い出し、自然に親しむライフスタイルで生きてくれたらと思います。これからも、質素な暮らしの中で大きな喜びを感じられる子供たちを育てていきたいと思います」

 

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