NPO法人「南アルプス山麓いやしの里づくりの会」│山梨県南アルプス市│「地域と連携して、食と自然に恵まれた南アルプス山麓の魅力をアピールしていきたい」と事務局長の飯島孝也さん 取材/原口真吾 写真/堀 隆弘

NPO法人「南アルプス山麓いやしの里づくりの会」│山梨県南アルプス市
│「地域と連携して、食と自然に恵まれた南アルプス山麓の魅力をアピールしていきたい」と事務局長の飯島孝也さん
取材/原口真吾 写真/堀 隆弘

 眼下に、甲府盆地が広がる南アルプス市上宮地の市之瀬台地。NPO法人「南アルプス山麓いやしの里づくりの会」は、この地の耕作放棄地を開墾し、農業体験などさまざまな自然体験プログラムを開催している。また、里山に設けたマウンテンバイクのフィールドでは、ライダーにフィールドを整備してもらうなどして、里山保全への意識を高めてもらっている。

「南アルプス山麓いやしの里づくりの会」は、平成19年、上宮地地区の耕作放棄地およそ0.5ヘクタールを開墾(かいこん)し、農地とした。以来、東京近郊の農業ボランティアの手を借り、食品残渣(ざんさ*1)などを発酵させた堆肥(たいひ)を使い、ブドウ、モモなどの果樹を中心にタラの芽や山ウドなどの山菜、ミョウガ、アスパラガスなどの野菜を栽培している。

 南アルプス市は、晴天が多く水はけがよい土地のため、果実はあまり大きくならないものの、甘みが強く凝縮(ぎょうしゅく)したものになる。例えば、厳選したブドウを使って醸造したワインは、「ラピュータ」と名付けてブランド化し、その芳醇(ほうじゅん)な香りが評判を呼んでいるという。

 また、同里づくりの会では、20群の蜜蜂から蜂蜜を採取して販売している。1群には、1匹の女王蜂と、1万5,000〜5万匹の働き蜂がいて、1年間に約15キロの蜂蜜ができる。この地域はアカシアが多いため、すっきりした上品な甘さのアカシア蜜が採取できるという。

上:蜂の巣箱の状態をチェックする女性スタッフ/中:畑を囲むようにして作られたマウンテンバイクフィールド/下:昨年秋の収穫祭で、たわわに実ったブドウを手にする参加者(中・下の写真は、南アルプス山麓いやしの里づくりの会提供)

上:蜂の巣箱の状態をチェックする女性スタッフ/中:畑を囲むようにして作られたマウンテンバイクフィールド/下:昨年秋の収穫祭で、たわわに実ったブドウを手にする参加者(中・下の写真は、南アルプス山麓いやしの里づくりの会提供)

 他にも、自然が美しい古道のハイキングや沢登り、スノーシュー(*2)体験など、年間を通してさまざまな自然体験プログラムを企画。「どの企画にも、参加してみなければ分からない魅力がある」と参加者から好評を博している。

 一方、近隣の地域林内の古道を整備したマウンテンバイクトレイルでは、自然の樹木の合間を縫(ぬ)うようにして駆け下りる爽快感が味わえるが、ここでは、ライダーたち自らが草取り、倒木の撤去などのトレイル整備の時間を設けて、遊びと里山保全の両立に努めている。

 同里づくりの会事務局長の飯島孝也さんは、こうした取り組みを通して自然を楽しむだけでなく、その保全にも意識を向けてほしいと語る。

「自然から限りない恩恵を受けている私たちは、そのお返しに、里山などの自然を大切に守っていかなければなりません。多くの人にそうした意識を持ってもらうため、これからも、農業体験や自然体験プログラムに力を入れていきたいと思っています」

*1=食品製造及び加工過程で排出される食品廃棄物
*2=雪の上を楽に歩くための雪上歩行具

問い合わせ先
http://www.iyashinosato.org/
TEL/FAX:055-283-8114