三好雅則(みよし まさのり)  昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

三好雅則(みよし まさのり) 
生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。

 新型コロナウイルスで、高齢者を中心に重篤化し、死亡者が増えている。が、軽症で済む人もいる。その要因は免疫力の違いだ。

 免疫の仕組みは、人体に侵入した抗原(ウイルスや細菌)に対して、まず免疫細胞のうちの樹状細胞やマクロファージが侵入者を取り込み、その情報を好中球やNK細胞、B細胞、T細胞に伝えて抗原を撃退させる(自己免疫)。これをくぐり抜けた抗原に対しては、B細胞が抗体を作ったり、T細胞が自ら増殖して撃退しつつ、攻撃命令を伝えるサイトカイン(*)を放出して免疫細胞を集め、集中して駆逐したりする(獲得免疫)。この免疫機能は加齢、自律神経の乱れによっても低下する。自律神経は、運動神経や知覚神経と異なり、意志とは無関係に働き、血液の循環や消化など内臓諸臓器の機能を制御し、生命維持に関わるもので、交感神経と副交感神経に分けられる。

イラストは筆者

イラストは筆者

 交感神経は昼間に優位になり、血管が収縮して血圧が上昇して、心身が活動的な状態になる。一方、リラックスしている時や夜の睡眠時は、副交感神経が優位となり、血管が緩んで血圧が低下し、心身も穏やかな状態となる。

 このバランスによって生命が維持されているのだが、ストレスや食生活の乱れなどでバランスが崩れると、免疫力が低下する。免疫力を高めるには、適度の睡眠、バランスのいい食事や軽い運動、また人への親切や共感、感謝、さらには瞑想するのがいいと言われている。いずれも脳内にオキシトシンが分泌されて副交感神経のレベルが上がり、自律神経のバランスが回復するからだ。

参考文献
●藤田紘一郎著『免疫力をアップする科学』(サイエンス・アイ新書)
●安保徹著『免疫力を高めれば、薬はいらない!』(知的生き方文庫、三笠書房)他

*=細胞から放出されるタンパク質