飯田哲也(いいだ・てつなり)さん(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長) 聞き手/遠藤勝彦(本誌)写真/堀 隆弘   飯田哲也さんのプロフィール 1959年山口県生まれ。京都大学大学院工学部原子核工学専攻修了、東京大学大学院先端研究博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力R&Dに従事した後に退職。認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員などを歴任。自然エネルギー政策の第一人者として知られ、日本政府及び地方自治体のエネルギー政策に大きな影響を与えている。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論)、『1億3000万人の自然エネルギー』(講談社)、共著に『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』(講談社現代新書)、『メガ・リスク時代の「日本再生」戦略─「分散革命ニューディール」という希望』(筑摩選書)。

飯田哲也(いいだ・てつなり)さん(認定NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
飯田さんは、脱原発を訴え、地球全体で使うエネルギーの全てを自然エネルギーに切り替えるための活動を続けている。自宅の書斎にて

聞き手/遠藤勝彦(本誌)写真/堀 隆弘  

飯田哲也さんのプロフィール
1959年山口県生まれ。京都大学大学院工学部原子核工学専攻修了、東京大学大学院先端研究博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力R&Dに従事した後に退職。認定NPO法人環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会委員などを歴任。自然エネルギー政策の第一人者として知られ、日本政府及び地方自治体のエネルギー政策に大きな影響を与えている。著書に『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論)、『1億3000万人の自然エネルギー』(講談社)、共著に『原発社会からの離脱 自然エネルギーと共同体自治に向けて』(講談社現代新書)、『メガ・リスク時代の「日本再生」戦略─「分散革命ニューディール」という希望』(筑摩選書)。

電力会社と経済産業省、御用マスコミが演出したトリック

──原発にはさまざまなウソがあると言われています。①「原発は安心・安全である」、②「原発がなければ電力が不足する」、③「原発は一番コストが安い発電方式である」、④「原発は脱CO2の最終兵器である」などがその代表的なもので、①については、福島第一原発事故によって真実ではないことがはっきりしました。しかし、他の3つについては、今もってまことしやかに喧伝されている気がします。それぞれについて本当はどうなのか、教えていただければと思います。

飯田 ②の「原発がなければ電力が不足する」といわれるようになったのは、2011年、東日本大震災によって起きた福島第一原発事故の後、東京電力、東北電力管内を中心に、「このままだと電力が足りなくなる」「節電をしなければならない」という電力不足キャンペーンがなされたことが発端です。

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 このキャンペーンの拡声器になったのがマスコミで、「全原発停止なら家庭の電気代1000円アップ」(読売新聞)、「電力5社2兆円燃料増原発停止で今期赤字相次ぐ公算」(日本経済新聞)、「全原発停止なら…5年後も節電の夏 関西・九州・四国」(朝日新聞)と、まるで「原発がなければ電力不足で日本がダメになる」と言わんばかりでした。

 しかしこれは、電力会社と経済産業省、そして御用マスコミが総出で演出したトリックで、「原発がなければ電力不足で日本がダメになる」という虚構を刷り込むプロパガンダに過ぎなかったんです。

──そのトリックとは、どんなものだったんですか。

飯田 福島第一原発事故後、東京電力が発表した「震災後の電力供給力の見通し」(グラフ1参照)を見ると、同社の供給力は、2011年夏の最大需要予想をわずかに上回っているだけでした。これが事実なら、何かの拍子に電力需要が跳ね上がれば、停電してしまう可能性があったわけです。しかし、この数字にはトリックがあって、東電管内における揚水発電の供給力が過小に計上されていたためだったんです。

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 東電管内の揚水発電の設備容量は合計1,050万kWですが、供給力見通しでは、7月中旬においてすら700万kWしか計上されていませんでした。残る350万kWをフル動員すれば、たとえ震災のダメージが大きい東北電力に融通したとしても、予想される最大需要をクリアすることができたんです。

 さらにタチが悪いのは、経済産業省までが加担していたことです。東電は震災の前、2011年夏の電力の最大需要を5,750万kWと見積もっていましたが、経産省はなぜか、記録的に暑かった2010年の6,000万kWという数字を使いました。日本全体でいうなら、電力会社が震災前に想定していた需要の合計は、せいぜい1億7,100万kW(グラフ2参照)だったのに対し、観測史上最も暑かった夏の数字を使った経産省の予想は、それを1,000万kWも上回っています。

 水増しの数値を並べた上、揚水発電による供給力を過小に計上して試算しているわけですから、多くの人が「電力が足りなくなる」と思ってしまうのは当たり前ですね。

 こうしたことは、どうしても原発を続けたいがためにウソをつき続ける詐欺的行為と言っていいと思いますが、未だに「原発がなければ電力不足になる」というウソの上塗りが止まる気配はありません。

新設すればするほど建設コストが増大する原発

──③の「原発は一番コストが安い発電方式である」については、どうでしょうか。

inoti134_rupo_4飯田 それは全くの作り話です。原子力発電の推進と原子燃料サイクルの確立に向け、その中核となるプルサーマル計画や、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分に関する情報等を配信している電気事業連合会や政府は、都合よく操作したデータによって、原子力が火力や水力より安上がりであるかのように装ってきました。

 「発電方法別コストのちがい」を見ると、Aの経済産業省の『エネルギー白書』では、原子力の1kWの発電単価が5~6円となっていて、火力に比べると25%も安くなっています。しかしこの数字は、実際に原発を動かしたものではなく、原発がトラブルもなく順調に稼働した場合のモデルケースから考えて計算した試算値なわけです。

 実際の稼働実績から算出したBでは、一番安いのは一般水力で、2番目が原子力ですが、原発には、国としての研究開発コストが火力や水力よりも多くかかっているだけでなく、原発を建てる土地の住民に納得してもらうための交付金などの立地対策コストもかかる。そうした政策コストを加算すると、Cのように原子力が一番高くなるんです。

──原発の建設コストも飛躍的に高くなっていると聞きます。

飯田 そうですね。その理由の一つとして、世界的に安全基準が厳しくなっていることが挙げられると思います。そのため格納容器が巨大化し、イギリス、フィンランド、フランスの原発には、コアキャッチャーという、メルトダウン(炉心溶解)が起きても吸収できるような装置が装備されています。

 また、労働の自由化で東欧諸国などのEU(欧州連合)から建設要員が集まってくるので、何人もの通訳を介さないと意思の疎通ができずに納期が遅れ、仕様も決められた通りにできないという状態になっています。その影響でフィンランドでは、原発の建設コストが5倍に跳ね上がっています。

──すると原発は、新設すればするほど建設コストが増大するということでしょうか。

飯田 多くの製品は、生産が増大すると技術が向上し、生産単価が下がる「技術学習効果」が働くものです。例えば太陽光発電、風力発電などの小規模分散型の自然エネルギーは、パソコンや携帯電話、液晶テレビなどと同様、作れば作るだけ性能が上がりコストが下がるわけですが、原発は正反対です。

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 太陽光発電などは、日進月歩でアップデートされて世代交代をしているというのに、原発は未だに第三世代と言われ、40年前の技術を用いている、とてつもなく古い代物なんです。原発を大量に作ってきたアメリカやフランスの建設コストを検証すると、新しく作られた施設ほど、倍々ゲームのようにコストが高くなっていることが分かります。

CO2排出削減に貢献しない原発

──もう一つ、④の「原発は、脱CO2の最終兵器である」についてはいかがですか。

飯田 原発は化石燃料を使わないので、運転中だけを見れば、CO2を排出しません。しかし、原発の燃料となるウランの採掘から濃縮というプロセス全体を含めると、原発は、化石燃料並かどうかはともかく、無視できない量のCO2を出している可能性があります。

 それに、原発は短期的にも長期的にもCO2削減には貢献しないというのが、今や世界の常識です。これまで、地球温暖化による深刻なダメージを避けるために国際的に共有されてきた認識は、「2050年に世界全体でCO2排出を半減する」「産業革命前に比べ気温上昇を2度以内に抑える」というものでした。

 これを実現するには、向こう10年から20年の間に世界のCO2排出量を半減させなければならないのですが、計画・許認可・建設、運転開始までに10年、それ以上の時間がかる原発では、短期的なCO2排出削減の効果は限られているわけです。他方、中長期的には古い原発の大量廃炉時代を迎え、それを補う原発を建設することは不可能です。

 また、原発をCO2排出削減対策の中心に据えた場合、手痛い逆効果を招く可能性が高い。巨大電源である原発が福島第一原発のように事故で停止したりすると、その供給力を補うために火力発電所がフル稼働し、一気にCO2の排出が増える危険性を孕んでいるわけなんです。

 しかし、そうしたアクシデントに見舞われなくても、原発が日本のCO2排出削減に貢献した可能性は小さいと言っていいでしょう。電力会社は、地球温暖化防止という大義名分の下に原発増設を進めたその裏で、1990年代を通じて石炭火力発電所を増強してきたからです。

 出力調整のきかない原発の短所を火力で補う必要はあるとしても、国と電力会社がなぜ、CO2排出が最も多い石炭を選んだのかというと、それは単に安価で手に入りやすいからです。ですから原発と石炭火力の増強は、あくまで「エネルギー安全保障」を満たすためで、温暖化防止など二の次だったわけです。

国の安全審査では安全性の落とし穴を見抜けない

──ご共著『「原子力ムラ」を超えて』(NHKブックス)の中で、日本の原子力の本質的な欠陥として、①「安全審査が実質的ではなく、空疎であること」、②「技術の本質が底抜けであること」の2点を挙げておられます。これについて教えていただけますでしょうか。

原発、自然エネルギーに関する著作も多い

原発、自然エネルギーに関する著作も多い

飯田 まず、そこに至るまでの経緯からお話しすると、私は京都大学で原子核工学を学び、同大学院を修了した後、原子力産業の一端を担う神戸製鋼に入って、放射性廃棄物関連の仕事に関わりました。3年後に原子力の安全基準づくりを行い、審議会委員などを束ねて電力会社の原子力事業を支援する電力中央研究所(電中研)に出向となり、そこでいわゆる“原子力ムラ”の実態を目の当たりにしたんです。

 それは、審議会委員の大学教授、企業の技術者の皆さんは、経験知に富み、業界の風聞には詳しいものの、誰一人として原子力に関する体系的、国際的な最前線の知見を学んでいないということでした。 

 また、原子力に関わる官僚がどういうマインド、つまりどんな思考法で仕事をしているのかについても知ることができました。彼らは、真面目に取り組んではいるんですが、原子力の安全性というよりも法律の条文の字面をどう合わせるか、どうすればマスコミや反対派に突っ込まれないかという視点で、ただただ字面をチェックしていたんです。

──驚くべき話ですね。

飯田 ①から説明しますと、原子力の安全審査に関しては、分厚い安全審査書があって、原発などの原子力関連施設の設置あるいは変更を行う際は、国が施設や設備の基準設計などの安全性に関わる審査を行うんですが、だからといってその安全審査書は、信頼できる専門家が厳しく審査したものなどと思ってはならないんです。こうした安全審査書は、電力会社が作ったように装ってはいるものの、実は原子力産業の御三家である三菱重工、東芝、日立が作成したものであって、電力会社の主な仕事は、国の安全審査に備えた対応策を練り、そのためのロジックをこね回したり、「てにをは」をチェックしたりすることなんです。

 国の安全審査も、錚々たる専門家で構成する安全審査会で行うことになっているんですが、会議はわずか2時間程度。そんな会議で分厚い安全審査書を見せられ、安全性を評価できる専門家などいるはずもありません。もとより、津波の高さの想定はこれで大丈夫なのかとか、津波が来て外部電源が失われた場合の安全性の確保などについて、真剣に考える姿勢など全くありませんでした。

 つまり国の安全審査は、申請者である企業に全面的に依拠しており、本質的な安全性の落とし穴があっても、それを見抜ける構造にはなっていないんです。要するに彼らは、本当の安全性を追求するのではなく、事業者と自分たちの権威を死守するため、国が進める原発を守るために奉仕していたというわけです。

日本の原子力技術はアメリカのコピー&ペースト

──②についてはいかがですか。

飯田 これは、日本の原子力技術はアメリカのコピペ(コピー&ペースト)であり、借り物だということです。原子力技術を導入して半世紀以上が過ぎているというのに、原子力御三家の東芝、日立、三菱重工は、今に至るまで原子炉の基本設計パッケージをつくることさえできません。もっと深刻なのは、日本の原子炉を製造する機器基準は、アメリカ機械学会(ASME)が定めた基準をそのままコピペしているだけだということです。2002〜3年、東京電力が、管内の原発で発生したトラブルの記録を意図的に改竄、隠蔽するという事件が起きたとき、「告示第501号」という技術基準が注目を集めたんですが、ここに全てが集約されています。

 これは「電気事業法第48条第1項」の下にぶらさがっている告示で、正式名称を「発電用原子力設備に関する構造等の技術基準」(昭和55年通商産業省告示第501号)といいます。その名の通り、日本の原子力発電関連の設備機器は、すべてこの告示501号に従って設計・製造・検査が行われるわけですが、この告示501号の実態は、先ほど言いましたようにASME規格の焼き直しに過ぎないんです。

──日本の原子力は、アメリカの原子力技術の“上澄み”をとっているだけということでしょうか。

飯田 その通りです。新しい金属材料を原子力機器に適用するには、日本のJIS規格(日本工業規格)では何の役にも立たず、まずアメリカ機械学会の審査を受け、ASME規格に登録される必要があるんです。実際に、日本の原子力機器のほとんどはASME規格に基づいた材料や溶接技術で設計・製造されており、それをJIS規格で「JIS相当材」として代替的に使っているかのように呼ぶという奇妙な逆転現象が生まれています。

飯田さんは、地球環境に配慮して、太陽光発電(10kW)、高気密・高断熱の家に住み、電気自動車、自転車を愛用している

飯田さんは、地球環境に配慮して、太陽光発電(10kW)、高気密・高断熱の家に住み、電気自動車、自転車を愛用している

 しかも、ASME規格は、「品質保証(QA)」という概念に支えられていますが、これは日本の検査中心主義とは根本的に異なります。品質保証とは、システムを体系的に担保するもので、事実の正確な報告と記録、そして第三者による監査が必須であり、これらは行政の裁量基準にも、職人的な日本の技術文化にも馴染みにくいのです。

 ASMEの品質管理(QC)が、日本では労働者による自発的管理運動である「カイゼン(改善)」へと変質したように、品質保証もやはり形式的に移植されているんです。

 先ほどの事件のときも、電力会社は検査記録をろくに保管していなかったばかりか、その際に行われた“原子力ムラ”での第三者監査など何の意味もなく、ほとんど笑い話という他ないものでした。

自然エネルギー100%を目指すスウェーデンで受けた衝撃

──日本の原子力の根本的な欠陥がよく分かりました。ところで、飯田さんはもともと原子力畑を歩んでおられたのに、原発社会からの離脱を目指されるようになったのは、スウェーデンに行かれたことがきっかけになったとお聞きしています。どんな経験をされたんですか。

飯田 10年にわたって原子力の現場にいる間に、この仕事は男子一生の仕事にあらずと思い、原子力そのものを問い直さなければならないと考えるようになりました。そこで原子力に関する本を読み漁りながら、その頃、反原発の神様と言われていた高木仁三郎さんに会って話を聞いたりしたんです。その中から、当時50%の電力を原発で賄いながらも、国民が脱原発の方向で進むことに決めていたスウェーデンの存在を知り、そこに行けば自分のやるべきことが見つかるのではないかと思って、1992年にスウェーデンに留学しました。

inoti134_rupo_8 そこでは圧倒的な衝撃を受けました。言葉尻さえ合わせておけばいいという日本の“原子力ムラ”の文化とはまるで違っていたのです。「原発推進・反対」という二項対立の議論などはとっくの昔に卒業し、「これ以上、原発は増やさない」という大きな合意の下で、核のゴミをどうしていくか、安全性をどう高めるのかという現実的な課題についての議論を、推進も反対もなく実質的に進めていたんです。

──日本とはかなりの違いですね。

飯田 ええ。例えば被曝軽減に関しても、スウェーデンの場合、原子力機器の設計と作業の手順の標準化を徹底的に突き詰めることで、作業員の被曝を個人でも全体でも減らそうと、知恵を尽くし、設計を変えることまで徹底して行っていました。

inoti134_rupo_9 それ以上に驚いたのは、エネルギーを民主主義で決めていくために、地域社会でさまざまな取り組みを行っていたことでした。これについては、拙著『北欧のエネルギーデモクラシー』(新評論)の中で書き、『ミツバチの羽音と地球の回転』という映画の中でも紹介しましたが、それぞれの地域にエネルギー会社があって、住民が参加しながら、バイオマスなどで自然エネルギー100%を目指すコミュニティーを作り上げていました。

 原発から自然エネルギーへと着実に歩を進めているスウェーデンの現状を目の当たりにして、日本でも原発社会から離脱し、自然エネルギーにシフトするのが最も重要な政策であると痛感し、2000年に「NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)」を設立して活動を始めたんです。

世界の潮流に大きく乗り遅れている日本

──自然エネルギーへのシフトが喫緊の課題だと思いますが、世界の自然エネルギーの導入状況はどうなっているんでしょうか。

飯田 世界的には、これまで主力だった水力発電や風力発電を追い抜く勢いで太陽光発電の普及が飛躍的に進んでいます。ブルームバーグNEF(BNEF)の速報データによれば、太陽光発電の2017年の年間導入量は、世界全体で30%増え、過去最大となる1億kW(100GW)に達しています。

 累積導入量で見ると、太陽光発電は2007年にわずか900万kW(9GW)だったものが、2017年には4億kW(400GW)と40倍以上に達し、ついに原子力発電3億9,200万kW(392GW)を追い抜きました。風力発電は、2017年に前年比微増の5,600万kW‌(56GW)拡大し、累積導入量でも既に原子力発電を超えて2017年末には、5.4億kW(540GW)に達しています。

──日本はいかがですか。

飯田 日本の場合は、世界と単純比較ができないので、増加率で紹介すると、日本国内の太陽光発電の年間発電量の割合は、2019年時点で前年の6.5%から7.4%に、VRE(変動する自然エネルギー:太陽光および風力)の割合は、7.2%から8.2%に増加しています。バイオマス発電の年間発電量も前年比20%増、風力発電および地熱発電も10%程度増えています。

inoti134_rupo_10 しかし、ヨーロッパのアイスランド、ノルウェーなどでは、既に100%自然エネルギー電力目標を達成もしくはほぼ達成し、年間発電量に占める自然エネルギーの割合が30%を超える国が多くあることを考えると、日本の19.1%、2030年の導入目標24%は低い数値で、世界の潮流に乗り遅れていると言えます。

 そもそも太陽エネルギーだけでも、現在、地球上で私たちが使っている化石燃料や原子力の約1万倍も降り注いでいるわけで、そのうちわずか0.01%を電気か燃料に変換すれば、地球全体で使うエネルギーのすべてを自然エネルギーに切り替えることができるんです。そう考えれば、自然エネルギー100%は決して難しいことではないんです。

 これからも人類史上、農業革命、産業革命、IT革命に次ぐ“第四の革命”と言われる自然エネルギーの普及・拡大に努めていきたいと思っています。

──お話を伺い、一日も早く脱原発を図り、自然エネルギー100%を実現しなければならないことを痛感しました。
(2021年1月29日、インターネット通信により取材)