畑でとれたイチゴを手に笑顔の藤井ヒロミさん 取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘

畑でとれたイチゴを手に笑顔の藤井ヒロミさん
取材/久門遥香(本誌) 写真/堀 隆弘

太陽光発電と蓄電池を活用

 瀬戸内海に面する山口県防府市で、藤井ヒロミさんと夫の祥孝(よしたか)さんが暮らす自宅には、屋根に太陽光発電装置、屋外に家庭用蓄電池が設置されている。

「平成18年から二酸化炭素の排出量を『生活の記録表(*1)』に記入し続けていて、今は、年間の二酸化炭素の排出量は実質ゼロになっています」

 そう話すヒロミさんは、平成20年に5kWの太陽光発電装置を導入し、その後、宇部市に所有する2棟のアパートにも設置したため、合わせて約40kWの発電能力がある。蓄電池を自宅に設置したのは平成30年のことで、昼間、太陽光で発電した電気を溜めて夜に使い、停電時の非常用電源としても役立てている。

「これまでに一度停電したことがありましたが、冷蔵庫や携帯電話のための電気が使えて助かりました。太陽光発電や蓄電池を設置したいけれど迷っているという方には、生長の家の組織の会員であれば補助金が出ることをお伝えし、自然エネルギー活用の輪が広がるよう微力を尽くしています」

 こうした自然エネルギーの利用に積極的になったのは、谷口雅宣・生長の家総裁の講習会での講話や書籍を通して、自然エネルギーの利用が地球環境の保全に繋がることを学んだのがきっかけだった。

「我が家にも太陽光発電装置をつけたいと思っていた矢先、ちょうど飛び込みで太陽光発電の営業の人が来てくれたんです。これは神様の導きに違いないと思ってよく話を聞き、夫とも相談した上で太陽光発電を導入しました」

全ての生き物や自然を尊重し

 昭和42年、23歳で結婚したヒロミさんは、義父母を通して生長の家の教えに触れた。さらに同じ頃、近所の人から『白鳩(*2)』誌を勧められ、少しずつ教えを学ぶようになった。

自作のスマホ・タブレットスタンドを使うヒロミさんと夫の祥孝さん

自作のスマホ・タブレットスタンドを使うヒロミさんと夫の祥孝さん

「義父母は二人とも優しい人柄で、信仰を押し付けたりはせず、ごく自然に『人間は神の子で、素晴らしい存在なのよ』とか、『明るいことを考えていれば、幸せな人生が実現するからね』などと話してくれたので、素直に教えを受け入れることができました」

 平成2年には、祥孝さんの転勤で茨城県へ移り、さらにその後、福岡県へと移転したが、そのたびに生長の家の教化部(*3)を訪ねたり、誌友会(*4)に参加したりして教えを学んだ。その際、近隣の生長の家の信徒とも交流できたため、知らない土地でも安心して暮らすことができたという。

 平成10年に防府市に戻ってからは、自ら誌友会を開き、教区の練成会(*5)に参加したりして研鑽を積み、平成25年には地方講師(*6)となって、人に教えを伝える活動にも励むようになった。

「善一元なる神様に全托し、明るく前向きな気持ちで生きることができたお陰で、これまで大きな問題もなく、夫や私、3人の子どもたちも健康で過ごせたことが、本当にありがたいと感謝しています。信仰が深まるにつれて、自分自身や家族の幸せを願うだけでなく、地球の全ての生き物や自然を尊重することの大切さに思いが至るようになりました」

クラフトの製作に励んで

 もともと裁縫や編みものが好きだったというヒロミさんは、2年ほど前に、生長の家が進めているPBSの活動(*7)の一つ、SNIクラフト倶楽部に入部した。メンバーが行っているクラフト製作に刺激を受け、不要になった着物やカーテン、ソファーのカバーなどで帽子を作ったり、余った毛糸で室内履きを手作りしたりして家族や友人に贈って喜ばれている。

「蓄電池も導入して、太陽光をさらに有効に使えるようになりました」

「蓄電池も導入して、太陽光をさらに有効に使えるようになりました」

「倶楽部に入って皆さんと交流することで、さらにクラフトが楽しくなりました。手作り品には、市販のものにはない温かみがありますし、自分好みに色や形を工夫できるのもいいですね」

 最近は新型コロナ感染拡大の影響で、生長の家の組織会員とのオンライン会議などが増えた。スマートフォンやタブレット端末を使う機会が多くなったため、かまぼこ板を再利用してスマホ・タブレットスタンドを自作した。

「インターネットを通じて全国の信徒の皆さんと交流できるようになったので、いろんなアイデアをいただいてクラフト製作の参考にしています。ものにも神のいのちが宿ると生長の家で教えられていますから、まだ使えるものを捨てたり、無駄にものを買ったりすることがないよう心掛けています」

楽しくやりがいのある毎日

 ヒロミさんの暮らしをさらに豊かにしているのが、20年以上続けている有機農法による野菜作り。自宅から自転車で5分の場所にある畑で、季節ごとの野菜を育て、春から夏には、レタスやキャベツ、サヤエンドウ、イチゴなどを収穫している。毎日の食卓には、自ら育てた旬の野菜や大豆ミート、地元の特産品であるかまぼこ、ちくわなどを使った、肉を使わないノーミート料理が並ぶ。

「以前はよくお肉を食べていたんですが、肉食が環境に与える影響の大きさを知り、10年ほど前からノーミートの料理を食するようになりました。ここは海が近いので魚が豊富ですし、野菜もたくさん採れるので、お肉がなくてもおいしい食事ができます」

 ヒロミさんにとって太陽光発電やクラフト製作、有機農法による野菜作り、ノーミートの食生活を送るのは、それほど難しいことではなく、楽しくやりがいのあることだという。

「自分が楽しいだけでなく、それがまた、地球環境を守ることになるんですから、こんなに嬉しいことはありません。こうしたライフスタイルを自分の子どもや孫たち、友人たちにも伝え、その輪を広げていけたらいいなと思っています」

 自然体で、環境に配慮した生活を続けるその姿は爽やかだった。

*1=家庭で1年間にどれだけのエネルギーを使い、CO2を排出したかを記録する表。生長の家国際本部編
*2=本誌の姉妹誌
*3=生長の家の布教・伝道の拠点
*4=生長の家の教えを学ぶ小集会 
*5=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*6=生長の家の教えを居住地で伝えるボランティアの講師
*7生長の家のプロジェクト型組織(PBS=project-based system)には、SNIオーガニック菜園部、SNIクラフト倶楽部、SNI自転車部の3つがあり、信仰に基づいた低炭素で倫理的な生き方を実践している