
ツール・ド・フランスの難所として知られるフランス のパイエール峠にて(写真は筆者提供)

岩島啓太(いわしま・けいた)
1979年、東京都生まれ。東京・日野市でロードバイクプロショップを経営する傍ら、日本、世界で開かれるロードバイクレースに参加。自転車専門誌に寄稿し、生長の家のSNI自転車部との関わりも深い。
2018年から2年間、24回の長きにわたり、皆さまにお読みいただき、ありがとうございました。
連載の最後に、この欄のタイトルでもある「人生が楽しくなる自転車」について、私なりの考えをお伝えしたいと思います。
私は、人生を楽しむということは、いずれ来る人生の終わりを迎えるときに人生を振り返り、満足しながら旅立つことだと思います。それを実現するには、自分の確固たる信念に基づいて、正直に日々行動していくことが大切だと考えます。
アメリカの心理学者、マズローが提唱する欲求段階説は、下から生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求→自己超越欲求で構成されています。現代の日本では、多少景気は悪いものの、根源的欲求である生理的欲求と安全欲求が満たされている場合が多く、衣食住は足りています。その上に位置する、社会的欲求から先の精神的欲求を順々に満たしていくことが、人間の幸せに繋がっていきます。
その幸せを実現するアイテムとして、私は自転車に出合いました。まず、自転車に乗り、健康になることで、生理的欲求の強固な土台が築き上げられます。
本誌No.120(2020年3月号)に掲載した「自転車コミュニティは格好の学びの場」では、社会的欲求が満たされ、No.119(同2月号)の「自転車と成功体験」によって承認欲求が満たされ、No.122(同5月号)に掲載した「自転車と哲学」では、自分なりの哲学を持つことで、自己実現欲求を満たせることを詳しく紹介しました。
今の日本には、閉塞感が漂い、世の中が何となく悪い方向に行っていると感じている人が多いと思います。しかし、こんな時ほど「楽しむ」精神が大切です。
私の信念は、生涯自転車に寄り添い、その楽しさを伝えていくことです。私の場合ですが、それが自己超越欲求に繋がっていくのでしょう。
皆さまと皆さまの周りに、今後も幸せのサイクルが巡ることをお祈りしています。またいつかお会いしましょう!