もう半世紀近く前のこと、結婚に憧れ、温かい家庭をつくりたいと夢を描いていた私は、幸せな花嫁になるはずでした。ところが現実は違いました。金融機関に勤める主人は気難しく、仕事で神経をすり減らしていたのだと思いますが、思い通りにならないと怒鳴って話し合いにならず、私は何度も涙しました。2人の子どもに恵まれたものの、私は子育てで心に余裕がなく、今振り返れば夫を思いやる気持ちに欠けていたと思います。

イラスト/せのおりか

イラスト/せのおりか

 そうした生活の中で、主人が胃潰瘍で入院しました。そんな時、信徒の方から時々いただいていた『白鳩』誌を読むと、「人間は完全円満な神の子、病本来なし」「乗り越えられない問題は与えられない」と書かれていて、その言葉に励まされました。以来、『白鳩』誌は、辛い時の心の支えになりました。

 やがて、子どもたちが小学生になり、医療事務のパートを始め、家庭の暗さから解放されたと錯覚して月日が流れました。それでも主人との不調和から離婚を考えていた矢先、主人が総胆管結石症で3カ月入院しました。

 その病室で、二組の夫婦の姿を見ました。一組は老夫婦で、奥さんが時間をかけてご主人に食べさせ、車椅子で散歩に連れていく姿に、夫婦愛を感じました。もう一方の夫婦は、胃を全摘したご主人のベッドの傍で、奥さんがイクラ丼を食べ、ご主人が「デイルームで食べろ」と怒鳴っていました。主人は「老夫婦のようになりたい」と言いましたが、未熟な私達に、夫婦の在り方を見せてくれたのかもしれません。

 退院して落ち着いた頃、中学生になった息子は顔つきが変わり、服装が乱れていきました。会話がなくなり、返事をしない息子に夫が切れて怒鳴ると、「うるせー」と言って椅子が飛んできました。いただいた『白鳩』誌の中に入っていた受講券を握りしめて、講習会に参加しました。その後、教化部(*1)を訪ね、悩みを相談すると、たった一言「子どもは神の子で、悪い子はいない」と言われました。そして母親教室(*2)を紹介され、そこから私の真理の勉強が始まりました。

 息子は高校生の時でも、タバコを吸って停学になったり、バイクを乗り回して補導されたりしました。さらに在学中に車の免許を取り、卒業と同時に車を運転して、アイスバーンで滑って鉄柱にぶつかる事故を起こしました。車は廃車になりましたが、息子は軽傷で済み、神様に守られたと感謝しました。「蒔いた種は刈り取らなければならない」ことを思い知り、主人に対する不満が家庭を暗くし、息苦しさを息子や娘に与えてしまっていたことに、申し訳ない思いで一杯になりました。

 教えを学ぶうち、夫としっかり向き合わず、話し合いのできない人と決めつけていたことに気づきました。夫も息子も、私の魂の向上に必要な観世音菩薩様(*3)だったのです。それからは何が起きても、「万事好都合!  これでよくなる」と唱えるようになりました。年月を重ね、子どもたちも独立し、私は古希を迎えました。今秋、生長の家のお役を退きましたが、皆様の支えと、今は私の一番の理解者である主人に心から感謝しています。

 私を生長の家に導いてくれた『白鳩』誌を、主人は独身時代に赴任先で、信徒さんから頂いて読んでいたことを後で知りました。このご縁にも感謝しつつ、調和に満たされ、穏やかな日々を送ることができて、今は幸せです。

TM(生長の家地方講師)
2人の子どもは独立し、現在は夫と2人暮らし。趣味はガーデニング、家庭菜園、DIY(ペンキ塗り等を自分ですること)

*1 生長の家の布教・伝道の拠点
*2 母親のための生長の家の勉強会
*3 周囲の人々や自然の姿となって現れて、私たちに教えを説かれる菩薩