生長の家総裁が運営するブログ「唐松模様」に発表された長編詩を単行本化した本書は、「凡庸」なる生き方を讃えた人間讃歌であり、読む人に生きる指針を与える。ハンディサイズで、いつも手元に持っていたい1冊。

『凡庸の唄』
谷口雅宣著 日本教文社刊 463円+税
私が子どもの頃の昭和30年代は、土まみれになりながら野山を駆け回って遊んでいました。服につぎが当ててあっても、誰も恥ずかしいと思いませんでした。往来では、馬が荷車を引いていました。そんなおおらかな時代に育ったことを、大切にしたいと思っています。しかしいつしか、物事の効率の良さばかりに囚われ、がむしゃらに突き進むような生き方になっていきました。
この本を手にして読み進むうち、涙が溢れました。ふとした瞬間によみがえってきた、でも手の平からぼろぼろ落としていた、豊かで和やかで愛おしい事事が、活字となって現れました。
あとがきには、「人間の要求に合わせて自然をネジ曲げること。それで幸福を得られると夢想すること。この自然に対する人間の好き勝手な態度が、対人関係に及ばないはずがないのである。
人間社会は自然界と別物ではない。人間社会の先に、人間社会を含んだ本当の価値がある。自然を慈しむことと、人間社会を愛すること──2つは実は同じことなのだ」(54~55ページ)と書かれています。
このことに思いを致し、これからの人生を歩んでいきたいと思います。本書は、悩み多き現代人に安らぎを与え、人生を慈しんで生きる指針となります。どうぞご一読下さい。
佐久間洋子(生長の家地方講師)
生長の家小樽教区地方講師会長。ビニール袋の使用を減らすため、新聞紙やチラシで折った袋を、ゴミ袋などに活用している。