
K.M.
神奈川県出身、山梨県在住。平成23年11月に28歳で入籍。現在夫と長男、長女と4人家族。SNIクラフト倶楽部に所属。持ちすぎない生活、直して使う生活を心がけている。生長の家山梨教区青年会委員長。
私は不安定な自分の心の状態を懸念して、男性とは距離を置くようにしていましたが、療養仲間の女性は結婚願望が強く、その彼とも積極的に話をしていました。宿には3人しか客がいないこともあって、私も会話に加わるようになりました。彼は山梨県の山間にある温泉旅館で板前をしていて、休みの日にこうして他の旅館へ行って料理を味わい、自分の仕事の参考にしていると話していました。
異性とはあまり関わりたくなかったのですが、仲間の女性が彼と打ち解けて、次の日、彼の運転する車に乗って、3人で近くに観光へ出かけることになりました。結婚願望のある彼女が彼とうまくいくようになればいいかなと思い、私も一緒に行きました。
どこに行ったのか、何を話したのか、今ではほとんど覚えてなく、帰り際に療養仲間の女性と彼がメールアドレスを交換していたのも、ただ傍観していました。しかし彼は、私にも「メールアドレスを交換しましょう」と言い、断るのも面倒だし、どうせ連絡はこないだろうと思って応じました。そして、社交辞令で「観光に連れていってもらったお礼に、家からは鎌倉が近いので機会があれば案内しますよ」と言ったのでした。

イラスト/石橋富士子
その後、私は神奈川に帰ってからも『生命の實相』(生長の家創始者・谷口雅春著、日本教文社刊。全40巻)を読み続けました。「何か外にあるものに頼るのではなく、自分のうちにある神に頼れ」「怒りや悲しみといった神の子らしくない感情は本来ないのであって、ただ嬉しい楽しいありがたいことばかりがある」といった言葉の一つひとつが心に響きました。摂食障害回復のための専門機関に勤めるなかで、何かに依存せずにはいられないほど負の感情がうずまいている人をたくさん見たり、かつての自分もそうだったこともあって、『生命の實相』に夢中になり、3カ月で40巻すべてを読んだほどでした。一生かけてこの真理を学ぼうと思いました。
『生命の實相』に感動した私は、生長の家のことをもっと知りたいと思い、神奈川県教化部(*1)に自分から連絡をして練成会(*2)に参加し、青年会員(*3)にもなって様々な行事に参加したり、お手伝いするようになったりしました。
一方、私から彼に連絡をすることはありませんでしたが、ある日、「3人で鎌倉へ遊びに行きませんか」というメールが彼から届きました。社交辞令とはいえ、自分から鎌倉に案内するといった手前もあり、3人ならいいかと鎌倉へ行く約束をしました。ところが当日になって、もう一人の女性が来られなくなったというので、思いがけず彼と2人で鎌倉へ出かけることになったのです。(つづく)
*1 布教・伝道の拠点
*2 合宿形式で教えを学び、実践するつどい
*3 12歳以上40歳未満の生長の家の青年男女の組織