
K.M.
神奈川県出身、山梨県在住。平成23年11月に28歳で入籍。現在夫と長男、長女と4人家族。SNIクラフト倶楽部に所属。持ちすぎない生活、直して使う生活を心がけている。生長の家山梨教区青年会委員長。
自分の心の状態を知ることができたおかげで回復も進み、スタッフとして摂食障害に悩む人の回復に携わるまでになりました。
しかし、表面的には摂食障害としてあらわれていなくても、自分の心の不安定さは自覚していたので、結婚のことは当分考えていませんでした。さらに、何かに依存せずにはいられないという心の根本の問題を解決するまでは、異性とは付き合わない方がよいと思っていました。共依存という、何かに依存したい人と、依存されたい人との不健全な結びつきを懸念したのです。
「自分のことを無条件に愛せるようになるには、自己肯定感が大切」と頭では理解できても、心からそう感じるのは難しいことでした。問題は摂食障害という表面的なものではなく、その根本にある心の問題なのですが、その心を制御するのが難しいのです。どんな自分でも受け入れよう、自分の気持ちを大切にしようといっても、何が本当の気持ちなのか、本当の自分は何なのかわからないのです。私は心に関するあらゆる本を読み漁りました。
そんなある日、母が図書館から生長の家の『生命の實相』(生長の家創始者・谷口雅春著、日本教文社刊。全40巻)という本を借りてきました。母は昔、この書名を聞いたことがあったそうで、ふと思い立って図書館に行ったらあったというのです。「読むと元気が出てくるから、読んでみたら」と勧めてくれました。

イラスト/石橋富士子
そこで次の日、電車で私の住む神奈川から長野まで出かける予定があったので、電車の中で読んでいくことにしました。はじめて『生命の實相』を開いて、大きな衝撃を受けました。「どんな人間も神さまから無条件に愛されている神の子である」「怒りや悲しみなど不調和なものは、本来なく、本当にあるのは愛や喜びにあふれた大調和の世界であり、それが人間の本当の姿(実相)(*)である」ということが書かれていたのです。
本当の自分も家族も「神の子」であり、本当にある世界には怒りや悲しみ、寂しさはなく、あるのはただ愛や喜び、大調和であった。たとえ今、足りないことや、できないことがあっても、みんな本来は「神の子」だから素晴らしいのだ。これは最高の自己肯定感だと思いました。なんてすごい本なのだろうと、電車の中で夢中になって読みました。
その日、長野県にある皮膚病の療養で有名な温泉宿に泊まりました。私はその当時、軽快したもののアトピー性皮膚炎があり、親類の勧めで、その温泉宿に定期的に通っていたのでした。
その日は、温泉宿の客は私を含めて3人しかいませんでした。1人は私の知り合いの女性で、宿で以前知り合ったいわゆる療養仲間でした。もう1人は初対面の男性でした。(つづく)
* 神によって創られたままの完全円満なすがた