hidokei128_make_4
 
K.T.さんは今年(2020)3月、大学卒業と同時に中学・高校の社会科の教員免許を取得した。現在は、特別支援学校中学部で臨時的任用教員として働きながら、特別支援学校教諭になることを目指している。

「支援学校の子どもたちのなかには、言葉がうまくしゃべれない子もいて、コミュニケーションをとることも難しいんですが、みんな向上心を持っていて、手伝いもしてくれます。たとえ障がいをもっていても、その肉体の奥には素晴らしい神性が宿っているのだと実感させられます。それに、子どもたちはどの子も可愛いから、笑顔を見ていると嬉しくなりますね」

 Kさんが生長の家の教えに触れたのは、小学生の時に、生長の家の信徒である祖父に連れられ、山梨県にある生長の家富士河口湖練成道場(*1)で行われた小学生練成会(*2)に参加したのがきっかけだった。

「当時は教えを学ぶというより、自然豊かな河口湖に行けるのが嬉しかったですね。練成会では、笑いの練習(*3)が一番楽しかったのを覚えています」

 中学・高校時代は部活が忙しく、生長の家から遠のいていたが、大学3年生の時に将来に対して自信が持てず、何かを変えるきっかけを求めて8年ぶりに生長の家の練成会に参加した。

hidokei128_make_5

「講師から『神さまは、人に善なる魂のみを与えていらっしゃるんです。光の前では闇が消えてしまうように、悪い心があるように見えても、それは一時的な迷いであって、本来は無いものなんです』という話を聞いて、心に立ち込めていた霧が晴れたようでした」

 気持ちが前向きになれたことをきっかけに、生長の家の本を読み始めるようになった。その中の一冊、『今こそ自然から学ぼう』(生長の家総裁・谷口雅宣著、生長の家刊)を読んだ時、衝撃を受けたという。

「地球温暖化について警鐘を鳴らし、肉食が自然環境へ負荷を与えることや、飢餓問題にも密接に繋がっていることが書かれていて驚きました。こうした問題について周りの人にも知って欲しいと思い、卒論のテーマにしようと決め、FAO(国際連合食糧農業機関)や、日本の環境省などの報告書を参考に、自分の意見をまとめました」

 その卒論が高く評価され、学内の優秀な学生に贈られる、大学創立者の名前を冠した賞を受賞した。

 いま目標に向かって努力を続けているKさんは、練成会で学んだ神想観(*4)の実修を続けるうちに、将来の夢が明確になったと話す。

「漠然と目指していた社会科の教員が、本当にやりたいことなのかと自問していました。自分には知的障がい学級に通う妹がいるので、障がいを持つ子どもたち、そして、ご家族の気持ちや苦労を理解できると思い、特別支援学校の教諭を目指すことにしました。将来は、子どもたちに内在する神性を引き出して、社会的自立を支援できる教員になりたいと思っています」

*1 山梨県南都留郡富士河口湖町にある生長の家の施設
*2 合宿して教えを学び、実践するつどい
*3 笑うことによって、心を明るくし、心身を健康にするために行う練習
*4 生長の家独得の座禅的瞑想法