世界を取り巻く問題に対して自分に何ができるかを考えるために、5歳の娘と中東・ヨーロッパへの旅に出た。ここまでドイツ、ベルギー、ヨルダン、トルコといった国々を周り、難民への取材や現地の人々との交流を重ねるなかで、多くの気づきや発見を得ることができた。

髙木あゆみ 学生時代から国際問題に関心を持ち、結婚・出産を経て「世界平和をめざすフォトグラファー」として、2014年「はちどりphoto」を立ち上げた。離婚を経験し、2019年6月〜9月、中東・欧州14カ国110日間の母娘旅を実施。

髙木あゆみ
学生時代から国際問題に関心を持ち、結婚・出産を経て「世界平和をめざすフォトグラファー」として、2014年「はちどりphoto」を立ち上げた。離婚を経験し、2019年6月〜9月、中東・欧州14カ国110日間の母娘旅を実施。

 ギリシャの次の大きな目的地はハンガリー。バルカン半島を縦断して向かう。バルカン半島にはアルバニア、北マケドニア、コソボ、モンテネグロ、ブルガリア、ルーマニアなどの国々があり、ルートを悩んだ。どこへでも行ってみたいので、「どこがおもしろそうか」で決めることにした。私たちは北マケドニア共和国の首都スコピエを目指した。

 北マケドニアを選んだ理由は「マザー・テレサ」だった。彼女は、このスコピエで生まれ育った。私は3年前、彼女について書かれた本を生長の家宇治別格本山(*)で購入していた。厚くて重くて内容もぎっしり。遠のいてしまっていたが、道中での読書にはちょうど良いと思い、日本を発つ前に電子書籍にし、iPadで読めるようにしていた。スコピエに着く前に読み終え、彼女の生き方の尊さを改めて感じていた。

 宿から歩いてマザー・テレサ記念館に向かう。記念館で彼女の人生を追うと、当然ながら、家族がいたことや、幼少期を経て、時間を積み重ねた結果、あのマザー・テレサとなったことに親近感が湧いた。娘に、マザー・テレサについて説明したが、「とにかくママの好きな人」とインプットされ、似た服装の人を見かけては「マザー・テレサ」と言っている。

マケドニア広場。像はいくつあるでしょう?

マケドニア広場。像はいくつあるでしょう?

 町を歩くと銅像の数に驚愕する。人より多い印象だった。パリの凱旋門のようなものや、建物の上には無数の像が。なぜこんなに多いのか土産店のお兄さんに尋ねると「政府の方針だよ。観光名所がないからね」と返ってきた。その後、涼みに寄った川では、明らかに貧困の中で暮らしているような青年が釣りをしていた。声をかけたが、「お金を払わないなら何も話さない」という姿勢を徹底していた。

* 京都府宇治市にある生長の家の施設。宝蔵神社や練成道場などがある