
三好雅則(みよし まさのり)
生長の家本部講師。昭和24年生まれ。生長の家参議長。趣味は読書、絵画・音楽鑑賞、水彩画。
地球で最も繁栄している生物種は昆虫である。100万種を越え、既知生物(菌類、植物、動物)の半数以上、動物の7割以上を占める。
その理由の一つは「飛翔力の獲得」。小型で軽量な昆虫は、丈夫な外骨格(*1)を得たことで翅を得て飛べるようになった(昆虫の99%)。このため、①生活圏の拡大(樹上や高地を含む広範囲の移動)、②捕食者からの逃避、③餌の獲得、④新生息地の発見、⑤遺伝的に離れた配偶者との出合いが有利になった。また小型・軽量が、少量の餌での生存や空間を細分化(樹上、地表、地下等)しての利用を可能にし、外骨格が、生存に危険な水分蒸発を防ぐ働きをした。
理由の2つ目は「変態」。蝶やカブトムシなど、昆虫の83%が幼虫・蛹・成虫に変態(完全変態)することにより、成長と繁殖の完全分離を実現し、効率的な資源利用を可能にした。幼虫期には、餌(キャベツ等)の豊富な場所で食事に専念して確実に成長し、蛹期には体の構造改革を実現(イモムシから蝶)。成虫期には翅で広範囲に移動して、多くの花の蜜や樹液等を吸って栄養を蓄え、異性と出合い、次世代(卵)を残す。

イラストは筆者
そして3つ目は、花をつけ、蜜を供給する被子植物(藻類を含む全植物種の8割)と共生関係を結んだこと。これで同時期に両方、爆発的な種分化が進んだ(共進化(*2))。
こうした共生関係は、昆虫と植物に限定されるものではない。地球の全生物種は、それぞれ相互依存し合う生態系の一員だ。自分とそれ以外を分け、他の生物種を含む自然(生態系)を破壊するような生き方はもう終わりにしよう。
参考文献
●水波誠著『昆虫―驚異の微小脳』(中公新書)
●本川達雄著『ウニはすごい バッタもすごい』(同上)
●丸山宗利著『昆虫はすごい』(光文社新書)他
*1=軟体動物や節足動物などの体の外側を包む堅い殻
*2=2種の個体群が相互に関係して、ともに進化する現象。花の構造と受粉昆虫の口器の形態の変化の関係等