
吉井真記子(よしい・まきこ)さん│55歳│奈良県大和郡山市
取材/佐柄全一 写真/堀 隆弘
奈良県大和郡山市内で、「しゅん声楽ピアノ教室」を主宰する吉井真記子さんは、幼稚園児から大人まで幅広い年代の生徒に、ピアノと声楽を教えている。新型コロナウイルスの影響で、4月からはオンラインレッスンに切り替え、取材の日もタブレットを介して、ピアノを弾きながら声楽の指導に当たっていた。

左/吉井さんが考案した音楽記号パズル。「小さな子が覚えるのに最適と大好評です」
「最初はどうなることかと心配しましたが、だんだん慣れました。こういう方法でもレッスンができて、生徒さんと分かり合える音楽ってすごいなと、音楽の素晴らしさを再発見しています」
毎年秋には、教室の生徒による発表会を開いているほか、自ら病院や介護施設などを慰問し、ピアノの弾き語りを披露して喜ばれている。
「演奏する側と聴いてくださる方とが、喜びを共有し合えるということが、音楽の一番の魅力ではないかと思います」
物心がつく3歳の頃、テレビで見たピアノに憧れて祖母にピアノを買ってもらい、教室に通って習い始めた。小・中・高と習ううちにますますピアノが好きになり、「将来はピアノ教室の先生になりたい」という夢を描くようになった。
「小学校高学年の頃には、山口百恵さんの歌を聴いて、歌にも興味を持つようになり、中学から声楽も習い始めたんです」
その後、大阪芸術大学に進学し、本格的に声楽とピアノを学んだ。そして大学一年生のときには、教室を開くまでになり、卒業後も続けて現在に至っている。

ザ・シンフォニーホール、サンケイホールプリーゼにおいてオペラアリアを演奏
そんな吉井さんが、生長の家の教えに触れたのは、結婚後、姑との不仲に悩んでいたときだった。近所の人の勧めで、奈良県教化部(*1)で開かれる集まりに通い、「人を思いやることの大切さ」を説く教えを学ぶうち、はっと思いあたることがあった。
「私が、私がと、あまりに自分中心の生き方をし、人への思いやりや愛に欠けていたことを反省したんです。それから、姑にはもちろん、ピアノと声楽を習わせてくれた両親、教室の生徒の皆さんに感謝するよう心がけると、姑との関係も徐々に良くなっていきました」
以来、信仰を支えに一層ピアノと声楽に精進し、3年前からは、友人のピアニストと一緒に、生長の家奈良教区の「自然の恵みフェスタ」(*2)に出演。昨年は、その友人の伴奏でオペラアリアを歌い、好評を博した。
「今、一番嬉しいのは、宗教に無関心だった主人が、生長の家を理解し、練成会(*3)にまで参加してくれるようになったことです。これからも、音楽の楽しさを多くの人に伝えていきたいですね」
魅力的なソプラノボイスが一段と高くなった。
*1=生長の家の布教・伝道の拠点
*2=自然と調和したライフスタイルの具体例を地域の参加者と共有し、体験・体感する行事
*3=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい