
西新知樹(にしあら・ともき)さん│59歳│大阪府堺市
声楽を通して人生観、世界観が広がったという西新さん。今日も練習に余念がない
取材/佐柄全一 写真/永谷正樹
西新知樹さんは、生長の家大阪教化部(*1)の職員として働く傍ら、堺フロイデ合唱団の一員として活動している。昨年(2019)8月には、フェニーチェ堺で開かれた同合唱団の定期演奏会で、モーツァルトの『レクイエム』を披露し、好評を博した。
「歌うと心が浄められ、爽やかな気持ちになります。私にとって音楽は“人生最高の友”ですね」

コーラスグループ「ラーナ・エ・ディーヴェ」のメンバーと。西新さんはバスを担当している
笑顔でそう語る西新さんが音楽に魅せられたのは、中学2年生のとき。テレビで放映された、ドヴォルザークの交響曲第九番「新世界より」の演奏を聴き、深い感動を味わった。
「親しみやすい旋律が心に染み通り、こんなすごい音楽があるんだと初めて思いました」
その後、ベートーヴェン、チャイコフスキー、ラヴェルなどのクラシック音楽を聴き始め、やがて自分でも楽器を演奏してみたいと思うようになった。阿倍野高校に進学すると吹奏楽部に入部して、トロンボーンを担当した。
「部員の少ない小さな部でしたが、3年間、一所懸命練習したことで、音楽がますます好きになりました」
高校を卒業し、近畿大学に進んでからは同大学の交響楽団に所属してトロンボーンを吹き、卒業後も、大学OBによる交響楽団で活動を続けた。
「そんな中、最初に就職した会社を30歳で辞め、転職した会社も1カ月も続かず精神的に落ち込んで、何とか立て直さなければと思っていたとき、家に置いてあった『宝蔵』(*2)という小冊子が目に留まったんです」
手にとって読むうち、子どもの頃に生長の家の信徒の父親に勧められて青少年練成会(*3)に参加し、「人間は神の子である」という教えに感動したときのことを思い出した。

生長の家大阪教化部でパソコンに向かう
「それで平成3年の11月に、生長の家宇治別格本山(*4)の一般練成会に参加したんです。劣等感などの悩みを紙に書き、聖経(*5)を読んで焼却する浄心行を行ってからは心が晴々として、すべてを善一元の神様にお任せして生きようと思うことができるようになりました」
その後、宇治別格本山の練成会に3回参加し、平成4年3月に、父親の紹介で生長の家大阪教化部の職員となった。平成6年には、職場の同僚だった陽子さんと結婚し、幸せな人生を歩んでいる。
「しばらくして心に余裕ができたとき、今度はもともと好きだった歌に挑戦してみようと思い立ち、平成24年に合唱団に入りました。そして、ポスティングジョイ(*6)で知り合った信徒の関好子さんから声楽の個人レッスンを受けるようになって、声楽を通して人生観、世界観が素晴らしく広がりました」
生長の家の聖歌『實相を観ずる歌』(*7)が大好きだという西新さんは、信徒仲間3人とコーラスグループ「ラーナ・エ・ディーヴェ(蛙と歌姫たち)」を結成し、大阪教区の生長の家自然の恵みフェスタ(*8)の折には、美しいハーモニーを響かせている。
*1=生長の家の布教・伝道の拠点
*2=生長の家宇治別格本山が発行している体験集
*3=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践するつどい
*4=京都府宇治市にある生長の家の施設
*5=生長の家のお経の総称
*6=かつて生長の家が運営していた喜びを投稿するSNSのこと
*7=生長の家創始者・谷口雅春作詞、江藤輝作曲
*8=自然と調和したライフスタイルの具体例を地域の参加者と共有し、体験・体感する行事