古谷 浩(ふるや・ひろし)さん│74歳│静岡県浜松市 全身を使い、カンツォーネの名曲『青空に住もう』を熱唱する古谷さん  取材・写真/永谷正樹

古谷 浩(ふるや・ひろし)さん│74歳│静岡県浜松市
全身を使い、カンツォーネの名曲『青空に住もう』を熱唱する古谷さん 
取材・写真/永谷正樹

 妻の美知子さんと二人で暮らす古谷浩さんは、13年前から趣味としてシャンソンとカンツォーネを習い始め、現在も月に2回、プロ歌手の個人レッスンを受けている。

 今回の取材場所である生長の家静岡県教化部(*1)の一室で、歌声を聴かせてもらった。曲目は、カンツォーネの名曲として知られる『青空に住もう』。

 CDから流れるピアノ伴奏に合わせ、古谷さんが「アモーレ/泣いてはだめ/幸せが消えた時~」と歌い出すと、親しみやすい明快なメーロディーに乗って、美しい声が響き渡った。サビの部分で腕を大きく振り上げ、エネルギッシュに歌うその姿から、カンツォーネを愛する熱い思いが伝わってきた。

「何気ない曲の調べと言葉で、人の心の機微を表現する奥深さに惹かれて、シャンソンとカンツォーネを始めたんですが、今でも毎日30分は必ず練習しています。大きな声を出すと気持ちがいいですし、何より健康に良いですから」

 そう話す古谷さんは、同じレッスンを受けている仲間と共に、毎年、浜松市文化コミュニティセンターで「みどりの薔薇コンサート」を開き、カンツォーネ、シャンソンなどを歌って市民に喜ばれている。

「レッスンの先生とは家族ぐるみの付き合いで、妻も一緒にフランスやイタリアなどを旅し、シャンソンやカンツォーネが生まれた土地の文化を味わったこともあります」

 もともと音楽好きだった古谷さんは、東京の大学を出た後、静岡にあるCBS・ソニーレコードに入社。レコード盤のプレス機や音楽テープ開発の仕事に携わった。

もう一つの趣味は写真。「旅先で街並みなどの風景を撮っています。写真も、プロの写真家に習っています」

もう一つの趣味は写真。「旅先で街並みなどの風景を撮っています。写真も、プロの写真家に習っています」

 多忙な仕事に追われ、不眠症になっていた25歳のとき、母親に打ち明けたところ、生長の家のお経の一つである『甘露の法雨』(*2)を読誦するよう勧められた。

「半信半疑の思いでしたが、読んでみると『人間のいのちは神のいのちと一つ』ということが、分かりやすく書かれていて安らかな気持ちになり、ぐっすり眠れるようになったんです」

 それを機に、生長の家富士河口湖練成道場(*3)や本部練成道場(*4)の練成会(*5)に参加して教えを学ぶようになった。「人間は神の子である」という教えに感動した古谷さんが、さらに心を惹かれたのは生長の家の聖歌だった。

「生長の家の教えが説かれている聖歌には、他の歌にはない深いものがありました。特に『堅信歌』と『神と偕に生くる歌』(*6)は、強く心に響きました」

 その後、当時、東京・原宿にあった生長の家本部(*7)の聖歌隊のメンバーに加わり、仕事の合間に練習に励み、多くの信徒の前で聖歌を披露するなどして伝道に一役買った。

「私がシャンソンとカンツォーネに魅了されたのも、聖歌という基礎があったからだと思います。これからも、聖歌で表現されている信仰の喜びを、シャンソンとカンツォーネに込めて歌っていきたいですね」

*1=生長の家の布教・伝道の拠点
*2=現在品切れ中
*3=山梨県南都留郡富士河口湖町にある生長の家の施設
*4=東京都調布市飛田給にある生長の家の施設 
*5=合宿形式で生長の家の教えを学び、実践する集い
*6=共に生長の家創始者・谷口雅春作詞
*7=現在の生長の家国際本部