松﨑いづみ 長崎市在住。2017年8月に36歳で結婚。夫と2人暮らし。菜園ができる広いベランダが、新居の決め手となった。今年はプランターで芋掘りを楽しみにしている。髪の毛を寄付するヘアドネーションのために髪を伸ばし中。生長の家長崎南部教区青年会員。

松﨑いづみ
長崎市在住。2017年8月に36歳で結婚。夫と2人暮らし。菜園ができる広いベランダが、新居の決め手となった。今年はプランターで芋掘りを楽しみにしている。髪の毛を寄付するヘアドネーションのために髪を伸ばし中。生長の家長崎南部教区青年会員。

 彼が長崎に帰ってくると聞いてから、生長の家青年会(*1)の行事などにお誘いするようになりました。彼は参加できない時も返事をくれ、後でその会の様子も聞いてくれて、とても好印象でした。といっても恋愛対象ではなく、将来の青年会の幹部候補としてです。生命学園(*2)の運動会でも、子どもたちとすぐに仲良くなり、慕われている姿を見て、これから一緒に青年会を盛り上げてくれたらいいなと期待しました。

 ある晩、彼からいつもより丁寧なLINEが送られてきました。

「夜分遅くすみません。明日はお仕事ですか?」

「そうだよ〜」

「母がやっている塾の夏休み勉強合宿で生徒のキャンセルが出て、合宿している旅館の夕食券が余ってるんです。僕とのご飯になりますが良かったらどうですか?」

 一つ一つ言葉を慎重に選んだような、緊張感が伝わるメッセージでした。

〈もしや食事のお誘い? いや余ったって言ってるし……。断る理由はない。そう、困ってるみたいだから。そもそも彼のお母さんもいるしね〉

イラスト/石橋富士子

イラスト/石橋富士子

 一瞬でいろんなことを考えましたが、デートのお誘いではないという結論に至り、緊張をほぐして「ありがとう、行きます」と返事をしました。

 翌日、仕事が終わって旅館に行くと、夕食はバイキングで、一緒だと思っていた塾生や先生(彼のお母さん)は先に食べ終えているようでした。

 食事中、彼はずっと私の話を聞いてくれました。相槌を打ち、ハハハッと笑い、この場を楽しんでいるようでした。私は普段は聞き役になることが多かったので、こんなに自分のことを話したのは久しぶりでした。会話は弾み、初めて二人きりで長い時間を過ごしているのに、緊張も気疲れもありませんでした。ただ会話のテンポが心地よかったのと、よく笑ったということだけが心に残りました。

 帰り際、彼から「今日は楽しかったですね。またご飯に行きましょう!」と言われました。もしかして好意を持ってくれているのかな? ドキドキすると同時に、どうしよう……と思いました。彼は10歳も年下だったのです。

「うーん、いろいろと予定が入っててね、次は2カ月後かな……」

このとき私は教区青年会の副委員長をしていて、行事や会議もあり、本当に土日の予定はいっぱいでした。平日なら時間が取れそうでしたが、彼は夜遅くまで残業しているようでした。

 予定が合わないことに、ちょっとホッとしました。

「そうですか、じゃあ2カ月後に!」

 意外にあっさりした彼の返事に、またホッとしました。(つづく)

*1 12歳以上40歳未満の生長の家の青年男女の組織
*2 幼児や小学児童を対象にした生長の家の学びの場