経済協力開発機構(OECD)が2018年に行った調査によると、日本の15歳の生徒は、他国と比べて「失敗を恐れる」傾向が最も高いということでした。
また、新入社員を対象に、日本能率協会マネジメントセンターが2020年に行った調査では、若い世代の社員は他の世代よりも「失敗を恐れる」傾向が強いと指摘されています。
これらの結果は、現代の若者が堅実な生き方を求める一方で、失敗への耐性が低いことを示唆(しさ)しているとも言えるでしょう。
しかし、「失敗は成功のもと」ということわざもある通り、世の中の成功といわれるものの裏には、数々の失敗の積み重ねがあります。
私たちは人生において失敗することもありますが、それを気に留めて落ち込んでしまうのか、それともその経験を糧にして次に活かすのかによって、その後の人生は大きく変わっていきます。私たちは後者を選択して生きていきたいものです。
2度の失敗を経て
私はこれまでの人生の中で、大きな失敗からの再起を2度経験しました。
1度目の失敗は大学受験でした。浪人生活を送ったにもかかわらず、1つも大学に合格できず、「自分はダメな人間だ」と深く落ち込みました。しかしその後、IT系の専門学校に通い、「ゼロからのスタート」と背水の陣を敷いて、情報処理の国家資格取得を目指しました。
受験勉強から解放されたことと、新たな分野の学習が新鮮だったことから勉強がはかどり、入学後1年で、合格率10パーセントの国家資格を取得することができました。
生長の家では「人間は神の子であり、心で強く思うことは実現する」と説いていますが、当時の私は、合格だけを強く想像していたことを覚えています。
そして2度目は、事業の失敗でした。起業したものの、あっという間に立ち行かなくなり、多くの方々に多大なご迷惑をかけてしまいました。自己否定に陥り、何とか自分を変えたいと思い、生長の家本部練成道場*1の練成会*2に参加しました。
*1 東京都調布市飛田給にある生長の家の施設
*2 合宿して教えを学び、実践するつどい
練成会では、「自分を赦しなさい」と指導され、生長の家独得の座禅的瞑想法である神想観*3を実修しながら、歓喜勇躍(かんきゆうやく)している本来の自分の姿をアリアリと思い描きました。
*3 神想観について詳しくは、『新版 詳説 神想観』(生長の家創始者・谷口雅春著、日本教文社刊)、『神想観はすばらしい』(前生長の家総裁・谷口清超著、日本教文社刊)等を参考にして下さい
いつも笑顔でいることも心がけたことで、徐々に自己肯定感が高まり自信が湧いてきました。すると、自分を助けてくださる方々が現れるようになり、やがて結婚もすることができたのです。
これらの経験を経て現在の幸福な自分があることを思うと、「人生に無駄な経験はない」と、自信をもって言えます。特集ルポで紹介されたYさんも、気持ちを前向きにすることを心がけたことで、過去の失敗が糧となり、それが彼自身の強みとなりました。
神の子の自覚を深める
谷口雅宣・生長の家総裁は、『日々の祈り︱神・自然・人間の大調和を祈る』(生長の家刊)のなかで、次のように説かれています。
ある環境で仕事がうまく行かなければ、別の環境や別の時期を選べばよい。現象が八方塞(はっぽうふさ)がりだと嘆くなかれ。実相*4には、無限アイディアと無限可能性が満ちている。それを受信せよ。生かせよ。表現せよ。そのためには神想観を実修し、神に心を合わせよ。(89ページ)
*4 神によって創られたままの完全円満なすがた
失敗しても、人生が「詰んだ」と思うことはありません。大切なのは自分自身を肯定すること。そのためにも、神想観の実修を通して「自分は尊い神の子だ」という自覚を深めることです。そうすることで失敗は成功の糧となり、次への飛躍へとつながることでしょう。
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竹花久人(たけはな・ひさと)
生長の家本部講師補
生長の家本部練成道場勤務。趣味はネットラジオで海外のコンサートを鑑賞すること。最近はLinuxの習得に励んでいる。