目には見えなくても

 
 先祖と言われても、既に亡くなっているため、生前に親交があった場合を除き、身近に感じられる存在ではないという方がいらっしゃるかもしれません。

 でも、日本では古くから、お彼岸やお盆にはお墓参りをし、先祖の冥福を祈る習慣があります。私も子供の頃から、父に連れられてお墓参りをし、「この中には、おじいさん、おばあさんを始め、我が家の先祖が入っているんだよ」と言われて育ちました。お盆には、ご先祖様が帰ってくるのだと教えられ、目には見えないけれども、ご先祖様の存在をなんとなく感じた記憶があります。

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 あるとき母から、父が子供の頃に死にかけたことがあったと聞かされたことがありました。もし父が助からなかったら、今の私はいないことになります。また、私には家族があり、子供には末永く幸せに育ってほしいという願いがあります。ご先祖様もきっと、そのように子孫繁栄を祈ってこられたに違いないと思えば、こうして命を繋いできて下さったことに感謝の思いが生まれます。

 生長の家では、人間は神の子であり、永遠の生き通しの生命が本体であって、肉体が死んでも、生命は生き続けると教えています。だから目には見えなくても、ご先祖様は私たちをいつも見守って下さっているのです。

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 私たちは、そうした目に見えない力によって生かされています。毎日食べたものが栄養となったり、寝ている間に呼吸ができたりするのも、目に見えない力、神によって生かされている証と言えるものです。私たちがこの世に誕生し、神の恵みを受けて生きることができるのも、両親からさかのぼっていけば、代々のご先祖様が命のバトンリレーをしてくれたおかげなのです。

 ですから、神の恵みを受け取るには、先祖や両親に感謝の心を持ち、命の繋がりのパイプをつまらせないようにしなければなりません。「今、私はご先祖様のおかげで、生きていて幸せです」と感謝の心を持つことが、私たちが幸福な人生を築いていくための基礎になるのです。

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先祖に感謝の思いを伝えるために

 
 生長の家では、「大地は神様、根は先祖、幹は両親、子孫は枝葉。枝葉に花咲き、よき果を結ぶは親に孝養、先祖に供養」と説いています。ご先祖様に感謝の心を具体的に表現するための方法をご紹介します。

 1つ目は、ご自宅に仏壇がある方は、毎日手を合わせ、感謝の気持ちを伝えることです。特集ルポのユミコさんは、毎日、仏壇の前でお祈りしてから、出勤していますね。

 2つ目は、お盆やお彼岸などに、お墓参りに行くことです。機会があれば、親族などからご先祖様についての話も聞いてみましょう。

 3つ目として、父母などに聞いて家系図を書いてみることもお勧めです。私は父が亡くなったとき、お寺に提出する書類の関係で家系図を調べる機会がありました。自分が生まれてくるまでに、知らない先祖がいることが分かり、生かされていることを感じました。

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 これらのことを実践される中で、皆さんの心がご先祖様と一体となり、悦びの人生を歩まれますことを、心よりお祈り致します。

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新宮 一(しんぐう・はじめ)
生長の家本部講師補

島根県出身。生長の家宇治別格本山勤務。妻と娘1人の3人家族。趣味は世界遺産めぐり。マイブームは、世界史探究。