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丹羽倫生(にわ・みちお)さん │79歳│鳥取県米子市
取材/多田茂樹

激しい腹痛に襲われて

 
 春の兆しが少し見え始めた2月の晴れた日。鳥取県の米子駅からJR境線の列車に乗り、和田浜駅で降りると、丹羽倫生さんが車で迎えにきてくれていた。背筋が伸びたその佇まいは、79歳という年齢を少しも感じさせない。

 駅から5分程で丹羽さん宅に到着し、居間に通されると、真新しい仏壇が置かれていた。昨年(2022)、妻の紀子さんが75歳で亡くなったのを機に購入したという仏壇を背に、穏やかな口調で語り始めた。

 中学卒業後、大阪で働いていた丹羽さんは、しばらくして地元に戻り、着物を手洗いする仕事をしていた兄の手伝いをするようになった。27歳で結婚してから2人の子どもに恵まれ、幸せな結婚生活を送っていた。

「ところが、30代半ばを過ぎた頃から、激しい腹痛に襲われるようになったんです。もともと胃腸が丈夫な方ではなかったんですが、仕事ができなくなるほどの痛みが続くので、地元の大きな病院で診てもらうと、胃腸炎と診断され、処方された薬を飲んでも一向に治らなかったんです」

 症状が改善しないことに思い悩んでいるとき、知人から「いい話が聞けるから」と勧められたのが、生長の家相愛会*1の誌友会*2だった。
*1 生長の家の男性の組織
*2 教えを学ぶつどい

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いつもウォーキングをしている川沿いの道は、周囲に田んぼが広がり、四季折々の美しさを見せてくれる。天気がよければ中国地方の名峰、大山も近くに見えるという(写真/髙木あゆみ)

聖経読誦で嘘のように痛みが消える

 
「藁にもすがる思いで参加し、相愛会長の長戸さんに相談すると、『ご先祖様を供養したことはありますか』と聞かれて、びっくりしました。私は長男ではないので、先祖を供養するという意識が全然なくて、自宅には仏壇もありませんでしたから」

 さらには、「ご先祖様は私たちのいのちの源だから、いのちの源であるご先祖様を供養し、感謝することで全てが整う。長男でなくてもご先祖様を供養し、感謝することが大切です」と教えられた。半信半疑だったものの、少しでも楽になるのならと、勧められたことを実践し始めた。

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相愛会長を務める丹羽さんは、生長の家の伝道活動にも積極的に取り組んでいる(写真/髙木あゆみ)

「深いことは理解できませんでしたが、ともかく大事なことを教えられた気がしたんです。家に帰るとすぐ、私と妻の先祖を合わせた4家の先祖代々の霊牌(れいはい)*3を自分で書いて箱の上に祀(まつ)り、毎朝決まった時間に、聖経『甘露の法雨』*4を読誦して先祖供養をするようになりました」
*3 先祖及び亡くなった親族・縁族の俗名を浄書し、御霊を祀る短冊状の用紙
*4 生長の家のお経のひとつ。現在、品切れ中

 さらに相愛会にも入り、誌友会に参加して教えを学ぶうち、聖経*5を読誦するだけでなく神想観*6にも励むようになった。
*5 生長の家のお経の総称
*6 生長の家独得の座禅的瞑想法

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「先祖供養を始めてから、胃の痛みが少し軽減したような気がしましたが、すっかり治ったわけではありませんでした。それから1年ほど経った冬の寒い夜、突然、七転八倒するほどの胃の痛みに見舞われて、動けなくなったんです」

 とっさに思いついて長戸さんに電話すると、雪が降っていたにもかかわらず、すぐに自転車で自宅に駆けつけてくれた。

「長戸さんは、起きることもできずに苦しんでいる私に向かい、正座して聖経を読誦してくれました。すると2回目の読誦が終わる頃には、転げ回るほどだった痛みが嘘のようにすっと引いて楽になったんです。この時は長戸さんに感謝するとともに、ご先祖様の導きを感じ、本当にありがたく思いました」

身の回りによいことが

 
 それからは確信を持って先祖供養を続けるようになると、胃の痛みは完全に消えた。そして、体が健康になっただけでなく、身の回りに良いことが起こるようになった。

「その頃住んでいた家が、妻と2人の子どもが住むには手狭になっていたので、新しい家をなんとかしたいと思っていたんですが、思いがけず兄の援助を受けることができて、新興住宅地にいまの家を建てることができたんです」

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真新しい仏壇に向かい、毎朝、欠かさずに聖経を読誦している。先祖や亡くなった妻とのいのちの繋がりが感じられるひと時だ(写真/髙木あゆみ)

 さらに、当時小学校低学年だった長男が、奇跡的とも言える体験をした。

 長男が自宅2階の窓際で遊んでいたとき、勢いあまって網戸ごと下に転落した。そこには有刺鉄線が張り巡らされた塀があり、そのまま落ちれば大ケガを免れないところだった。だが、不思議なことにふわりと体が浮いたようになり、有刺鉄線を避けるように地面に落ちて無傷だった。

「長男からその話を聞いたとき、これはまさにご先祖様が守ってくれたんだと思い、先祖供養のありがたさを痛感しました」

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 丹羽さんは、現在も毎日神想観と聖経読誦を続けているが、亡くなった紀子さんも、生前は一緒に聖経を読誦してくれていたという。

「これからは妻のためにも、先祖供養に励みたいと思います。きっと霊界で聴いているでしょうから」

 そう言って丹羽さんは、紀子さんの位牌に手を合わせた。
 

本誌ではこの記事の他、
 ●手記①ブラジル篇「先祖に感謝の思いを捧げ、病気への恐怖心が消える」
 ●手記②アメリカ篇「先祖供養を通して、喜びごとが重なる」
など、世界各国から寄せられた体験談をお読みになれます。
また、簡単な「先祖供養の仕方」も紹介しています。
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